ハチジョウノコギリクワガタ

学名:Prosopocoilus hachijoensis

日本に生息するノコギリクワガタは4種。
まずは本土を中心に「ノコギリクワガタ」。
沖縄など南西諸島の「アマミノコギリクワガタ」。
そして石垣・西表の「ヤエヤマノコギリクワガタ」。

上記3種は既に飼育をしてきました。
最後の1種は、八丈島に産する異端種、「ハチジョウノコギリクワガタ」です!!


breeding

ハチノコは(って言うと滋養強壮っぽいけど)何年も前からずっと飼育したかった虫。
けど、店頭やネットなどで販売しているハチノコを見かけても、ずっと我慢していました。
なぜ始めなかったのかというと、それは、こだわりたかったからです。


自己採集に!!!




019年6月



はい着きました、八丈島。
東京・竹芝埠頭から船に揺られることおよそ11時間。実は前年の2018年にもこの常春の島を訪れており、これが2度目の渡航です。その初挑戦時にも数頭のハチノコを採集していましたが、ブリードに失敗したため、
無かったことにしてこの飼育記のスタートは2019年からとします。

まずは採集。30を過ぎた男が虫捕りがしたくて単身リゾート地に乗り込みます。
八丈島に就航するフェリーは1日1往復。島に着くのは朝で、そのまま船はパパッと準備を済ませ引き返します。しがない会社員である僕は有休を使っても3連休が精一杯で、往復の時間を考慮すれば、現地に滞在できるのは到着〜翌
朝までの24時間のみ。レンタカーを借りて、意識の続く限り島内を走り回ることになります。気分はル・マン24時間。軽だけど。

ハチノコの採集方法は、林道などに転がる材を起こして休んでいるところを失礼する、という、およそ本土のノコとは異なるもの。こう書くと簡単そうに思えますが、実際にはそうそう手ごろな材など転がってはおらず、「あった!」と喜び勇んで引っくり返しても出てくるのは
南国サイズのG様と、初見だとまあまあビビるサソリモドキなどの外道がほとんど。24時間という縛りもあり、「こんな絶海の孤島まで来てボウズ・・・」という焦りが頭を埋めます。それでも根気よく材起こしを続けると、ホントにいた〜!!!しかしなかなか逃げ足が速く、ゆるりと撮影しているヒマがないため残念ながら画像なし。しかしハチノコのいいところは、数頭で同じ場所にいてくれることです。どうしてもペアで採りたい僕にはとても嬉しい習性!サイズ的には小さくとも、採れただけで大満足です。よく「大型個体は稀」なんて紹介文が付きますが、実際に採れるのは100%ハサミムシ状態でした。
そんなこんなでボウズは回避、安心したところで仮眠&軽く観光して、クルマを返して島をあとにします。

それではグンマに戻ってブリード開始。
2♀いたのですが、帰りの船内で1頭弱ってしまったために1♀のみでのブリード。不安です。
セット内容。ケースはプラケ中、マットは産卵一番、足掛かりに細めのコナラ材を埋め込んでよーいどん。6月初旬の採集後すぐにセットを組んだのですが、本格的に産みだすまで2か月近くかかりました。結果は19頭と、ノコギリにしては少数ですが、飼育に十分な数のF1を得ることが出来ました。エサはマット、ヒラタケ菌床、カワラ菌床の3パターンに数頭ずつ分けて、とりあえず様子を見てみます。



2020年8月

エサを3パターンに分けて飼育したF1。2020年6月前後で全頭羽化しました。
♂はほとんど40mm台でしたが、1頭だけサイズの抜けた個体が。



54.4mmでした。エサはWISH-Aの800ccを2本で、ボトル交換時は8.5g。
正直ヒラタケ菌床は最も期待していなかったので、少し驚きました。つくづく勘の当たらない男です。
本土なら大歯型でもおかしくないサイズですが、こちらは「中歯のお兄さん」くらいの歯型となりました。
とはいえ、「
良くて50mmくらいが現実的な線かな」と考えていたので、これは結構嬉しかったです!真っ黒でハチノコらしさも良く出ており、ぜひ種親に使いたい個体。



他のはこんな感じ。



ある意味こっちの方がハチジョウらしいのかもしれません。
確かこれで46〜47mmくらいだったかと思いますが、50mmくらいまではみんなこういう具合。
ちなみに、コレでも
現地ではかなり大きいほうです。
こんなのさえいないから。ホントに。