アスタコイデスノコギリクワガタ

学名:Prosopocoilus astacoides pallidipennis

アスタコイデスノコギリです。通称アスタコ。マレー半島、スマトラ島、ジャワ島、台湾等、あちこちに広く分布。ウチのは西ジャワのハリムンという山(1929m)が故郷だそうです。いくつかの亜種に分けられており、マレー半島あたりのものは90mmが噂されています。このpallidipennis(旧cinnamomeus)のギネスは野外・飼育共に70mm前後。
アタマに2つ突起があるんですけど何に使うんでしょう。まぁ、きっと使わないんでしょうね。上羽が透けて下の薄いハネが見えてます。ヘンな虫ですね。でもかっこいいから許しちゃう。♀は結構可愛いです。

なんかイマイチ人気無いんですよ。すごくカッコイイと思うんですけど。
値段もめちゃめちゃ安くて1ペア数百円とか。
人気無いから安いと言うより、安いから人気無いんだろーね・・・。



breeding

2007年3月

めちゃめちゃかわいい!!

天然2♂2♀購入。♂61mm・60mmと♀29mm・27mmです。
日本のノコギリよりもゼリーの減りが早い気がします。ワイルド品なので交配済みだとは思いますが、心配なので一応1週間ペアで飼育してからメスをセットに投入。1ペアだけセットするつもりでしたが、ノコギリ系の飼育に自信ないのでキッチリ2ペアセットしました。プラケ小に4cmくらい発酵マットを堅く詰めて、その上にやわらかい産卵木を1本のせてマットで埋めます。マットは強く握って水がちょびっとしみ出るくらい。材は一日水に沈めたあと3時間くらい干しました。初めて飼う虫なのでどうしたらいいのかよく分かりませんが、本やらネットやらでみた外産ノコの飼い方を真似してテキトーにセットしました。

どうせたいした数産まないだろうし、スペースも無いんで、プラケ小に材1本で十分でしょう。



2007年6月

もうアスタコ飼育は極めたも同然。30mmにも満たないちっちゃな彼女は計44頭もベイビーを残してくれました。おめでとう。これ以上産まれると管理できないので、彼女には乾燥気味のマットで老後を過ごしてもらいます。
27.5mmの方は10頭くらいかな。内3頭を1本の菌糸瓶に投入。ノコギリと菌糸の相性ってどうなんだろう?っていう実験です。
ん?3頭じゃ実験にならない?

菌糸瓶って高いんですよ。



2008年5月

幼虫飼育には主に適当な発酵マットを使いました。んがしかし水分が多すぎたようで、グッッッッッチャグチャになってしまい壊滅。そして菌糸組は全滅。ノコセンス無さすぎです。あんなにいた二世たちも、結局羽化したのは数頭。しかも全部メス。

もう、涙で新成虫が見えない。





2009年5月

どうしてもこの虫が忘れられず、我慢出来なくなってビッダーズオークションを覗いてみました。「アスタコ」で検索、っと。いるいる、飼い主が現れるのを待つアスタコちゃん達が。早速2ペア落札しちゃいます。相変わらずかっこいいのに、相変わらず安いです。
産卵に関しては、2年前の成功パターンと同じ要領でいきます。27mmと26mmの2頭の♀をセット。期待して待ちます。
前回の経験がありますから、少し余裕を持てますね。



2009年10月

2♀のうち1頭は8月に死亡。残り1頭ですが・・・ケース底面に幼虫も卵も一切確認できず、敗色濃厚になったためWILD♀1頭追加しました。こちらは早速産んでるようです。トホホな感じでボウズセットをバラしたんですが、やっぱりマットにはなにもいない。
が、しかし。
1本だけ入れといたコナラ材に手をかけた瞬間、勝利を確信します。
手でも崩せるくらいのそのコナラを割ると、いっぺんに4頭の幼虫が見えるではないか!ぬぅぅ〜、材産みだったかぁ〜、ケースの底には何も見えないわけだ。最終的に幼虫20頭、卵10個を回収。早とちりして新しいWD♀セットしちゃったよ・・・まぁいいか。

それよりも。

以前から思ってたんですが、マット産みの種の一部は、どうも「仕方なくマットに産んでる」ような気がするんですね。材に対してのスイートスポットを、セットする人間が外しているから。その産卵木がその種の好みに合ってないから、仕方なくマットに産む。しかも、飼育者はマットばかりに気を使っていて、マットなら良いモノを使ってくれるから余計マットの方が産みやすい。
でもやっぱり、「程度の良い材に産みたい!」ってのが本音だと思うんです。本土ノコもそう。3つセットしたうちの1セットが完全に材産みでした。で、その材は今回のアスタコと同じもので、豊富な水分、適度な柔らかさを持っていました。あと、色が良かった。他の2セットも同じコナラを使いましたが、硬かったり柔らかすぎたりであまり産んでませんでしたね。そのかわり、マットに産んでた訳です。
ちなみにアスタコも本土ノコも、マットはどれも月夜野完熟Matで、割り出し時の状態もみんな同じような感じでした。複数の♀がそのマットで産卵している事からも、マットの状態は良好だったと思って差支えないでしょう。なのに、マットに産まず材に産む連中がいる。これはやっぱり、「良い材があるならそっちにしよう」という事じゃないかと。

でも、それより更に素晴らしいマットを用意したら・・・とか考え出すともうキリがないですよね。この辺にしましょう。まあ元々朽ち木に産卵する生き物ですから、「今更なに言ってんの?」って思われるかも知れないですが、どうも「マット産み」って言葉が普通になりすぎてるなぁ、と思って。
とにかく、F1幼虫の確保に成功したので、前回のリベンジが出来そうです。とりあえず460ccのガラスビンに月夜野きのこMatをギッチリ詰めておきました。水分量は、混ぜるとベチャベチャと音がする感じで、強く握って水滴が少しだけしたたるような。マットの水分量は、いつも良い表現が見つからないですね。
「オマエ、前回グチャグチャにし過ぎて失敗したんじゃねーのかよ?」


え?ごめんなさい、聞こえません。



2010年4月

前回グチャグチャにしておいた幼虫の中から♂のみを選別し、エサ換えを行いました。最大11.4g、平均10gほど。小さいなぁ。その後、♀は結局1本目の460ビンで続々蛹化を始めました。内2頭はすでに羽化。30mmくらいです。早めの羽化にしてはまずまずではないでしょうか。

さて、昨年10月に「慌ててワイルドの♀を1頭セット」と書きましたが、結局、彼女の持ち腹からは44頭の幼虫を回収。内40頭を250プリンカップにブチ込んでおきました。エサはきのこMatをベースに適当にブレンド。残り4頭は、1L弱の容器に奈良オオの「菌太郎」を詰めたものが余っていたので、これにブチ込みました。が、こちらは菌糸が合わなかったのか、全滅。そしてマットの40頭の方でも、ガスを発生させてしまった為かなりの数が落ちた模様で、自分の至らなさを再認識・・・う〜〜ん・・・。



2010年7月

もうカッコ良すぎ〜 チビる〜

初期ロット(?)の個体が羽化しましたので、結果を報告します。
♀扱いをした為に43mmの小歯になった1頭を除く全ての♂が60mm台で羽化し、最大は63.5mm。残る幼虫も全頭60台に乗ってくるであろうサイズです。ビークワギネスの70.3mmには遠く及ばないのですが、本格飼育の初年度にほとんどの個体が60オーバーで出てきたので未来は明るい気がします。
♀は28.5〜31.5mmで、こちらもだいぶまとまっている印象。ホントは33mmくらいを期待していたのですが、いきなりそうウマくはいかないらしいです。でも、去年の親が26mmと27mmだった事を考えれば、十分すぎる結果とも思えますね。来年への期待が膨らみます。
ここはちょっと調子に乗って、本気でギネスを狙ってみようかな、と思う次第でございます。

うん、3年・・・いや、5年後くらいをメドに。
お察しの通り、こういった長期的な戦略が当HPの強みです。(はァ?)



2012年12月

長期的な戦略により、2年で自己ベストを1.5mm更新、65mmです(泣)。
カワラ菌床を使ったところ、幼虫の体重はまずまずの結果が出ました。しかしヤエノコと同じで交換のタイミング、交換後のビンの状態に悩み、成虫のサイズに繋げる事が出来ませんでした。さらに羽化不全も多発・・・。次回以降はその辺の対策を練って70mmを目指します。何年かかるやら。